少子高齢化が急進していくなかで、介護、保育、障害福祉など各分野においてニーズが拡大しており、それを担う福祉人材の確保が急務となっています。また、地域社会や家族は大きく変化し、経済的困窮や孤立、ひきこもり、虐待、DVなど、既存の社会保障・社会福祉の枠組みでは対応しきれないさまざまな課題が広がりつつあります。
平成25年8月に、社会保障制度改革国民会議において「21世紀(2025年)型日本モデル」めざして全世代対応型の社会保障への転換を謳う報告書がとりまとめられるなど、社会福祉は大きな転換期を迎えています。
こうした制度改革を実現していくためには、それらを担う福祉人材の確保・定着とともに、資質の向上が喫緊の課題です。
一方、近年、社会福祉法人・福祉施設等事業所においては、福祉の人材確保とその定着が大変困難な問題となっています。さらに国全体の労働力人口が減少していくことも福祉人材の雇用に影響を及ぼします。
福祉人材の確保難の背景については、多岐にわたる課題が指摘されています。
そのために国における抜本的な人材確保対策を講じることが必要不可欠ですが、社会福祉法人・福祉施設等事業所が働きやすい職場環境の整備に主体的に取り組むこともあわせて重要な課題です。
現在、社会福祉法人・福祉施設に対しては、いわゆる「内部留保」問題やイコールフッティング等厳しい指摘が出されています。制度の狭間にある今日的な福祉問題への対応を強め、よりいっそう地域社会での公益的な役割を発揮していくこととあわせてガバナンス、経営・運営管理の強化が重要な課題です。
福祉人材の確保・定着・育成を核とする人事管理の強化は、まさに社会福祉法人の自律的な経営基盤の要の条件であり、社会福祉法人は主体的にその充実に取り組んでいくことが必要です。