5.福祉の職場におけるワーク・ライフ・バランスの推進手順

 福祉の職場においてワーク・ライフ・バランスを推進する際、以下の手順を参考として取り組んでください。

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(1)組織内の推進体制の明確化

  • 社会福祉法人・福祉施設や社協がワーク・ライフ・バランスに取り組むにあたっては、まず組織内の推進体制を検討する必要があります。
  • 人事制度の改善をともなう場合も多く、人事担当者が関わることはもとより、組織の規模によっては、職員からメンバーを募ってプロジェクトチームや主担当制を設置することも考えられます。推進体制については、組織全体にも周知することが具体的な改善計画を推進する土壌づくりにつながります。

(2)組織の現状・課題を整理する

  • 具体的なワーク・ライフ・バランス施策を検討する際に必要となるのは、法人・組織の現状や職員のニーズを把握することです。現状の組織体制、制度等の点検、評価については、各種診断ツール等を活用する方法もあります。
    (参考) ・厚生労働省両立支援のひろば「両立診断サイト」
     https://www.ryouritsu.jp/ryouritsushihyou/
    ・21世紀職業財団「ワーク・ライフ・バランス企業診断指標・認証基準」
     http://www.jiwe.or.jp/tabid/141/Default.aspx
  • また、職員へのアンケート等行うほか、現に介護や育児をしている職員がいる場合には、どのような制度があればより働きやすくなるのか、困っていることはなにか、などを聞き取り、制度づくりに活かすことも有効です。
  • さらに、福祉の職場には、多様な職種、勤務体系の職員が働いています。正職員の状況把握とともに、非正規職員、専門職など職員全体の実態と課題とをとらえ、反映することが必要です。

(3)改善計画を作成し、組織内の役職員等の理解をはかる

  • 組織の現状や職員のニーズを踏まえて改善計画を作成し、予算やスケジュール、期待される効果等を含めて組織内の役職員の理解をはかることが必要です。
  • 新たな制度や対応方策の導入については、他法人の先行事例や目新しさ、宣伝効果にとらわれることなく、自らの組織の現状にあわせて優先的に取り組むべき課題と目標を設定することが重要です。
  • また、新たな制度の導入だけではなく、既存制度の認知や使い勝手を検証して改善する、職場の理解や土壌づくりのための研修や学習会を開催するなどの取り組みが有効な場合も考えられます。
  • ワーク・ライフ・バランス施策を導入する企業等に対しては、国や自治体による各種の支援制度や奨励金が設けられており、こうした支援制度や助成の活用も検討します。

(4)改善計画の実施をすすめる

  • 改善計画を具体的に実施する際には、組織内への周知・広報とともに、主任やリーダーといった現場のマネジメント層の理解・協力を得ることが不可欠なことから、マネジメント層へのていねいな説明や支援が必要になります。
  • ワーク・ライフ・バランスは、「子育てをする女性だけを優遇するもの」ではなく、男女を問わず職員全体がワーク・ライフ・バランス施策の対象であること、ワーク・ライフ・バランスをきっかけに働き方の見直しがすすみ、業務改善や効率化がはかられるなど、組織力、総合力が徐々に培われていくことなどをていねいに伝え、理解を得ていくことが必要です。

(5)改善の状況を評価する、周知をはかる(PDCAサイクル活用)

  • 当初の計画にそって実施が終了した後、成果と成し得ていない課題を確認し、次の改善計画を検討するために、いわゆるPDCAサイクルを動かしていきます。
  • 当初の予測が外れ、計画通りに進んでいないものについては、その要因を把握し、推進体制も含めて見直します。実施状況報告については組織内にフィードバックすることも職員の継続的な意識づけのうえで重要です。