3.福祉の職場におけるワーク・ライフ・バランスの推進

(1)福祉の職場におけるワーク・ライフ・バランス

 「働きやすく、やりがいの感じられる福祉の職場づくり」のための一対応策として、平成26年度を始期とし、福祉職場の「仕事と生活の調和=ワーク・ライフ・バランス」の促進に取り組みます。
 具体的には、働く人それぞれの状況に応じて柔軟な働き方を可能にするとともに、自己啓発や地域活動への参加等を通じて職員の生活の広がりや充実をサポートすることで、専門性を活かしていきいきと活躍することができるような職場づくりに取り組むことです。

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 全社協政策委員会では、本推進要領をもとに、全国の社会福祉法人・福祉施設や社協等組織においてそれぞれの組織に合わせて展開していくことを呼びかけます。

(2)実践事例の公募と情報提供、発信

 あわせて、各組織で取り組まれている有益な雇用制度や実践例を公募により収集し、ホームページや冊子等に掲載して参考に資するよう情報提供をはかるとともに、プレスリリース、報道関係者との懇談会等をとおして社会に発信していきます。

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(3)ワーク・ライフ・バランスを進めるうえでの基本的考え方、注意点

①働く人の状況に応じて、個々人の能力を活かせる働き方を可能にする

 職場で働く人の状況や価値観は多様化しています。ワーク・ライフ・バランスとは、女性が約7割を占める2という福祉の職場の特徴も踏まえつつも、男女を問わず働く人がそれぞれの状況に応じて、個々人の能力を活かせる働き方を可能にすることで、組織としてよりよい成果をあげていこうとするものです。

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②業務の効果的な運営や働き方の見直しが前提

 ワーク・ライフ・バランスの取り組みにおいて重要なのは、現在の業務を「見える化」したり、マニュアルや記録様式、会議のもち方などを見直したりすることで、効果的な業務の進め方を検討し、実施していくことです。つまり、より効果的に個々人が能力を活かしていきいきと働くことで、より良い福祉サービスを提供できたり、新たな事業や活動の開発・展開に取り組むことができるように組織的に改革、改善していくための取り組みと言えます。

③ワーク・ライフ・バランス推進のコスト

 ワーク・ライフ・バランスは必ずしも、コストをかけた「制度」をつくることが目的ではありません。たとえば小規模な社会福祉法人だからこその一体感や小回りの良さを生かして、それぞれの組織にあった方法で取り組むことが必要です。
 ただし、労働時間の短縮や休暇の拡充で人員が不足する場合には代替や追加配置を迅速に行うなど、特定の人に仕事の負荷がかかることのないようにする必要があります。
 また、短期的なコストだけではなく、中長期的な経営のメリットを考えて対応することも大切です。

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1 政府が定めた「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」によれば、仕事と生活の調和が実現した社会とは、「国民一人ひとりがやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域生活などにおいても、子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現できる社会」であるとされています。
 また、平成25年8月にまとめられた「社会保障制度改革国民会議報告」では、「ワーク・ライフ・バランスの促進は、すべての世代の生き方と社会保障制度全体に大きく影響するものである」とし、職場における両立支援と子育て支援は少子化対策の「車の両輪」として一層の取り組み推進が必要としています。

2「社会福祉施設の人材確保・育成に関する調査報告書」(平成20年7月 全社協社会福祉制度・予算対策委員会施設部会